
山の気候は想像以上に過酷だ。
冷たい風、急な雨、じわっと湧き出す汗。
街では快適なウェアでも、山ではその機能が追いつかないことがあります。
そんなとき、頼りになるのが「素材そのものに備わった力」。
今回紹介するのは、トレイルランナーや登山者の間で高く評価される高機能素材──
Polartec(ポーラテック)。
寒暖差の激しい山で、汗冷えを防ぎ、動きながら体温を守る。
その秘密と、他素材との違いまで、トレイル目線でじっくり解説します。
Polartecとは?──“賢い布”で知られるアウトドア素材の代表格
Polartecは、1980年代に世界初の「化学繊維製フリース」を開発したアメリカのブランド。
もともとマルデンミルズという繊維企業から生まれ、現在では吸汗速乾・保温・通気・防風といったさまざまな性能を持つ機能素材の総称となっています。
アウトドアウェアだけでなく、軍用や消防服にも採用されるほどの信頼性。
その高性能ぶりは、過酷な環境を走るトレイルランナーにとっても大きな武器になります。
Polartec素材の種類とその強み(一覧)
素材名 | 特徴 | トレイルでの使いどころ |
---|---|---|
Power Dry® | 吸汗・速乾◎、肌面サラサラ | ベースレイヤー(春夏)に最適 |
Power Grid® | 軽量・通気・保温のバランス | 秋冬のベース〜中間着に |
Power Stretch® | 伸縮性と保温性の両立 | 冬のアクティブレイヤーに |
Alpha® | 通気・軽量・速乾の神バランス | 冬の行動着(アクティブインサレーション) |
NeoShell® | 防水しながら通気する奇跡素材 | 通年のレインシェル・風防シェル代替に |
他素材との違いは?──GORE-TEXやPertexと何が違う?
アウトドアウェアには、Polartecのほかにも高機能素材が多数あります。
中でもGORE-TEX(ゴアテックス)、Pertex(パーテックス)、OCTA(オクタ)は、よく比較対象となる存在です。
ここではそれぞれの特徴とPolartecとの違いを、目的別・環境別にわかりやすく比較していきます。
🧵 GORE-TEX:完全防水の代名詞。だが“蒸れる”
- 特徴:3層構造のメンブレンによる高い防水性(耐水圧20,000mm以上)と透湿性(目安:10,000g/m²/24h)
- 用途:レインウェア、アルパインシェル、冬用ハードシェル
- 課題:透湿性は限定的。激しい運動時は内側に蒸れが残りやすい
🔁 Polartec NeoShell® との違い
NeoShellは「防水性と通気性の両立」を目指して開発された素材。
GORE-TEXよりも耐水圧はやや劣る(10,000mm前後)が、その分空気を通して蒸れを逃がす構造。
つまり──
● GORE-TEX:雨に強いが運動時に蒸れやすい
● NeoShell:やや雨に弱いが行動中の快適さ◎
→ トレイルランナーやファストパッカーにNeoShellは理想的な選択肢
🧵 Pertex:軽量と撥水性に優れた“シェル素材の王道”
- 特徴:超軽量ナイロンリップストップ生地。主に表地や裏地として使われ、撥水加工もされている
- 主な種類:
- Pertex Quantum:極薄・軽量、主にダウンやインサレーションの表地に
- Pertex Shield:耐水圧・透湿性のある軽量防水素材(3層タイプ)
- Pertex Equilibrium:汗処理・通気性に優れたアクティブ素材
🔁 Polartec Alpha® や Power Dry® との違い
Pertexは**“外殻”としての素材であり、中間保温層やベースレイヤー素材とは用途が異なる。
Polartec Alphaは中わたの断熱層として使われ、Pertex QuantumやShieldと組み合わせて使われる**ことが多い。
→ Pertexは“薄くて軽いシェル”、Polartecは“体温調整を担う内層”が得意
🧵 OCTA(帝人フロンティア):日本発の次世代断熱素材
- 特徴:ポリエステル中空糸に8つの突起をつけた特殊構造で、断熱・吸汗・通気のバランスが非常に高い
- 用途:ベース〜中間層として、濡れに強く、ドライ感が続く。軽量でかさばらない
🔁 Polartec Alpha® との違い
どちらも「アクティブインサレーション(行動中の保温)」に最適化された素材ですが──
特性 | Polartec Alpha® | OCTA |
---|---|---|
通気性 | 高い(風が抜ける) | 高い(ドライ感が続く) |
断熱力 | 中程度(動的保温) | 高め(静的保温も視野) |
柔らかさ | やや硬め | 非常にしなやか |
製品展開 | 欧米アウトドアブランド中心 | 日本国内ブランドに多い |
→ Alphaは寒暖差の大きい山行や高出力アクティビティに◎
→ OCTAは軽量・行動系ウェアをシンプルにしたい層に人気
Polartec採用ウェアの例(製品選びの参考に)
これからの盛夏に向けて、Polartec® Power Dry®を何点か紹介します。アフィリエイトでも何でもありません!
・MMA POLARTEC®︎ Border Sleeve-less →MMAオフィシャルWEBストア
素材:ポリエステル 100%(POLARTEC®︎ Power Dry)
・F.C.Real Bristol POLARTEC POWER DRY S/S TRAINING TOP →【SOPH./ソフ】 オフィシャルオンラインストア
素材:ポリエステル 100%(POLARTEC POWER DRY LT RIPSTOP SOLID)
Power Dry® は機械的構造で汗を効率的に拡散し、快適さが長持ちする点がPolartec公式からも明記されています。
ご参考までに。
まとめ:素材が変われば、トレイルの快適さが変わる
「暖かいのにムレない」「軽いのに守られている」
その感覚の正体は、“素材の選択”にあります。
Polartecは、気候や運動量に応じて使い分けられる機能素材の宝庫。
ギア選びをレベルアップしたい人にとって、知っておく価値のある“相棒”です。
次にウェアを選ぶとき、タグに“Polartec”と書かれていたら、それは本気の証拠です。
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