
◯なぜ今、銀座なのか?
スイス生まれのスポーツブランド〈On(オン)〉が、2025年秋に東京・銀座に旗艦店「On Flagship Store Tokyo Ginza」をオープンすると発表しました。
場所は高級ブランドが並ぶ「並木通り」。
この旗艦店はパリ・シャンゼリゼ通りに続く世界で2番目の直営旗艦店となり、大きな注目を集めています。
ではなぜ、Onはパリの次に銀座を選んだのか?
その背景には、ブランド戦略・都市の特性・市場動向が密接に絡んでいるからと考えています。
◯パリを1号店に選んだ理由
・ファッション×スポーツの交差点
パリのシャンゼリゼ通りは、世界中のラグジュアリーブランドが並ぶ象徴的エリア。
Onにとっても、機能性と美しさを融合するブランドアイデンティティを体現するには最適の立地です。
・高い国際性と通行量
年間約700万人、1日あたり約19,000人以上が訪れるシャンゼリゼ。
観光客比率は68%とされ、ブランド認知の加速には理想的な場所です。
・2024年パリ五輪と連動した話題性
スポーツカルチャーとの接点が一層高まり、五輪と連動したマーケティング展開にも好影響を与えました。
◯なぜ2号店が東京・銀座なのか?
・高級商業地としての象徴性
銀座・並木通りは、シャネル・ルイ・ヴィトン・ブルガリといった世界的ブランドが並ぶ日本随一の高級ショッピングストリート。旗艦店の出店は、ブランド価値のさらなる飛躍を狙った布石ですね。
・アジア圏への強力な発信力
銀座はアジア諸国からの訪日観光客の立ち寄りスポットでもあります。
アジアマーケットへのブランド訴求拠点としても非常に戦略的です。
・日本市場の成熟性とポテンシャル
日本のスポーツフットウェア市場は2023年 約24.6億米ドルで、2032年には31.7億米ドルに成長予測がされています。(年率2.85%増)
国内でランニングカルチャーは定着しており、都市型ランナーへのリーチを強める狙いがあります。
・原宿直営店との連動による顧客体験の深化
既にOnは東京・原宿キャットストリートに直営店舗を展開中。
銀座旗艦店の出店により、よりラグジュアリーでハイエンドな顧客体験の提供が可能になります。
◯経済的・定量的に見ても銀座はベストな選択
観点 | 他都市(例:NY・上海) | 銀座 |
---|---|---|
ブランド集積 | 高級だが競合激化 | 日本唯一のハイブランド密集地 |
出店コスト | 高(NY:月3,000USD/㎡) | 同等だが投資対効果良好 |
訪問者属性 | 欧米中心 | アジア・欧米混合型で多様性高 |
既存拠点との連携 | 新規市場扱いでコスト高 | 原宿店と連動で運営効率的 |
◯今後の展望|Onが目指す未来
・“ただの販売店”から“体験の場”へ
Onはテクノロジーと人間工学を融合した〈LanceScan〉〈FootScan〉といった足型分析技術を駆使し、ユーザーに最適な1足を提案する体験型ストアを推進しています。
・D2C(Direct-to-Consumer)を加速
旗艦店の設置は、ブランドの理念や商品をユーザーに“直接体験させる”ことを目的としています。
顧客のロイヤルティ強化にもつながる構造です。
・グローバルとローカルの融合
銀座からアジア各国へのブランド発信基地としての役割を担いつつ、日本独自のランニングカルチャーにも深く関わっていく方針。
◯まとめ
Onが銀座に世界で2つ目となるフラッグシップを出店する背景には、都市の持つブランド力と経済性、そしてOn自身の成長戦略があります。
“走るための靴”から“体験するブランド”へ──。
東京・銀座から発信されるOnの次なるチャプターに注目です。
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